朝から土砂降りの雨の中、商店街を歩く。
宿を出たところ
今日のミッションはずばり、エイサーの衣装を買うこと。
昨日、竹美さんに「内地からやってきた者がエイサーの衣装を着てライブをやると、地元の人はどう思うだろうか。気を悪くしたりするだろうか」と尋ねたら「喜ぶと思う」との答えをもらった。さらにどこで買えるのかと問うと「え!売ってないよ。チームごとに仕立てるものだから。」とのこと。「ひょっとして三線店に行ったら教えてくれるかも」と、ずいぶんとワクワクする冒険のお膳立てをいただいてしまったのである。
もずくのてんぷら
朝ごはん
生搾りゴーヤ はちみつとシークワーサーを入れろという(入れなくて良かったな)
まずは、三線のお店を探すのだ。観光客なんてほとんど居ない、もっと言うと地元の人もいないそんな寂れたエリアに来た。三線店は行ってみたらだれもいなかった。だけど、すぐ近くに着物屋さんがあるのを発見。お姉さんが店頭に立っているので話しかけてみた。「エイサーの衣装が欲しいんですけど」と尋ねると驚いた顔をされた。
「あそこの店に行ってみて、着物を作ってることろだから」と教えてくれた。
その教えてもらったお店に行くと、腰の曲がったおばあさんが、ミシンをしていた。「エイサーの衣装が欲しいんです」と言うと、やっぱり困った顔をされた。「いま、そこにかかっているやつならあるよ」と、指をさしてくれたところに羽織が2,3着ハンガーにかかっていた。明らかに売り物ではなく、半端が出てしまったものが掛けてある感じ。もちろん値段もなにもない。しかもあんまりかっこよくない。右も左もわからない初心者が言うのだからよっぽどかっこわるいのだ。
仕立て屋さん
「頭に巻くやつも売ってるんですか?」と尋ねると「本当は1時間くらいあったら作ってあげられるんだけど、いまは、おばあのお祝いの着物を作っているからできないよ」と言われる。(いろいろなやり取りのなかでこのフレーズを3回くらい聞いた)
「角を曲がったところに、もう一つお店があるから、そちらに行ってみて」と言われたので、「とりあえず、そちらも見てまた帰ってきます」と告げて一旦お店を後にする。
教えてもらったお店は、反物屋さんだった。完成品の着物など置いていない。
「あー間違ったところに来てしまったなあ」と思いつつも、おばあさんに「エイサーの衣装が欲しいんですけど」と伝えるとやはり無いという。「頭に巻くやつはありますか?」と尋ねると、なんとあるという。「そこの箱とって」と言われ、棚から箱をとってあげると、なかから紫の布がでてきました。
「おー!それください!」見事、頭に巻くやつゲット!でも、どうやって巻くのかわからないのでそれも教えてもらう。「たぶん、こんな感じ」とか言ってやってくれたので、「あ!すみません、あとで自分でやらないといけないので、ビデオ撮らせてください」とお願いしてビデオを撮る。ありがとう。1千4百円。
丁寧に教えてくれた
頭に巻くやつをゲットした後、先ほどの店へ帰ってそのことを報告。そうすると、店の道を挟んだ反対側にも2,3ハンガーに吊るしてあるのを発見。「こっちのやつもわけていただけますか?」と聞くと、「いいよ」とおっしゃる。進んでは教えてくれなかったので、これも何かしらの半端の品なんだろうな。
かっこいいやつがあったので、「これをください」と申し出ると「それは上等だから高いよ」と言われてビビるも、6千円だったので買わせていただいた。
「このズボンもください。」と言うと「それは、ズボンの下に履くやつ。ステテコ。」と言って笑ってくれた。そしてズボンは普通の作業服でいいんだよと教えてくれた。
忙しい中、いろいろ教えてくれてありがとう
とりあえずこれでなんとか形になった!と一瞬喜んだのだけど、エイサーの画像検索してみたら、「あれ?帯が必要だな。」と気がつく。
気を取り直して今度は、帯を探すことに。少し歩いたら、着物の古着屋さんっぽいところを発見。
「ああ、最初からこういうところで良かったのかもな。」なんて思ったのだけど、やはりエイサーの衣装は置いていないようだ。地べたに無造作に置かれた衣装ケースに、値札も何もついていない帯が山のように入っているのを発見。
これは。。。古着だろうか。。。
えっと、お店の人は。。。と探すと、建物の裏側(屋外)にミシンを発見。これはどういうことだろうか。。。ここも仕立て屋さんなのだろうか。
あたりを見渡すとおばあちゃんを発見。たぶんこの人がお店の人なんだろう。ということで、「あの、帯を探してるんです」と言ってみると、果たしてお店の人でした。良かった。
先ほど手に入れたばかりの羽織を見せて「これに合う帯を探しているんです」と伝えると、おばあちゃんはその衣装ケースでないところ、お店の奥の棚からどんどん帯を出してきた。「あっ!このケースに入っている安そうなもので良いんですけど」と伝えられず、どんどん出してくる。
奥からどんどん出てくる
その中に、目を引くものが一つ。「あ、これカッコいいですね」というと「これはほんとの織物だよ。これを持っていると、みんなが解るよ」と。「じゃあ、それください、おいくらですか?」「4千円。こっちはコピーで1千円」とか言われて。内心「帯ってそんなに高いの?そっちのコピーので良いんですけど。。。」と言いたかったけど、ひっこみがつかずに、4千円の良い帯を購入しましたとさ。この時点では若干「じゃっかん、つかまされた感あるけど、自分でそういう状況を作ってしまったのだからしょうがない」と後悔していたのでした。
これが出てきたときに目を引いた
合うじゃないか
「よーし、最後は作業服屋さんだ」と検索して行ってみると、学校の制服屋さんで「そういうのは売ってないんです」と言われてしまった。これでそろそろタイムアウト。あとは徒歩圏内にはお店はない。気力も尽きました。上半身が揃ったから良いことにする。
羽織、頭に巻くやつ、帯の3点をゲットして、ライブ会場へ。
何事もなかったかのように、リハーサルをして、本番前に、アキさんに「これを着ても良いか」と尋ねると驚かれたけども、喜んでくれた。そして帯を見たら「あっほんとのやつですね」と。ああ、ほんとに解る人にはわかる帯だったんだ。よかった。
自分で帯というものを締めたことがないので、アキさんにやってもらいました。あーバッチリかっこいいぜ。顔がニヤケてしまうぜ。
嬉しくてニヤけている
その衣装のままライブをしました。
「わたし、今日、誕生日なんですけど、サプライズでケーキが出てくるとかそういうことはないと思うので、自分で祝いまーす」とか言ってハッピーバースデーを自分で演奏したりしてたら、なんとケーキが出てきました。しまった。段取りめちゃくちゃにしてしまった。ごめん!ありがとう!やりますね!うれしい。
ぎゃー!ケーキ出てきた。
奥村さんの還暦祝いと
ライブ終了後も、お客さんからどんどんリクエストが入ったりして。名古屋でライブやっていても、帰らないといけないのだけど、今日は宿に帰れば良いだけなので、どんどんリクエストを受けておりました。
そして、有志で打ち上げ。その前に、なんと金城さんと会うことができました。うれしい。
本番後に会いにきてくれた